さくらんぼ山梨 肥料 清澄園
植物の生長に欠かせない栄養分
・生育に必要な成分
人間と同様に植物も常に栄養分を必要です。植物は約90%が水と言われています。残りの10%の内、9,6%が酸素、水素、炭素で、残りの0、4%の中に微量ではありますが数多くの成分が含まれています。
植物を構成する成分の内、生育に必要な物は、酸素、水素、炭素、窒素、リン酸、カリ、カルシウム、マグネシウム、硫黄、鉄、マンガン、ホウ素、亜鉛、モリブデン、銅、塩素の16成分です。ごく微量ではありますがそれぞれの必要量にも多い物、少ない物がありますが、1つでも欠けたり必要に十分な量がないと植物の正常な生育が出来なくなります。
これらの内、酸素。水素、炭素の3成分は二酸化炭素(空気)や水として根や茎から吸収され、他の成分は主として根から吸収されます。そして、光合成を行いながら植物は生長していきます。
・補給が必要な成分
16成分中の酸素、水素、炭素は水や空気として得られますが、他の13成分は肥料として与える必要があります。窒素、リン酸、カリの3成分は人間でいう三大栄養素、たんぱく質、炭水化物、脂肪にあたる物で植物にとっては必要量も多く大量要素(肥料の三要素)と呼ばれます。その他の成分は人間のビタミン、ミネラルに相当する物で、その必要量によって中量要素、微量要素と呼ばれます。正常に生育する為には、これらの成分をバランス良く与える必要があります。
肥料の不足と過剰
・様々な症状
肥料成分が不足すると植物に様々な症状がでます。不足する成分によって生育不良、花数の減少、黄変、褐変などの症状となります。ですが与え過ぎもよくありません。
土壌中の肥料分が多すぎると植物は根から水や肥料分を吸収できなくなります。
肥料の与えすぎも根ぐされや一見病気のような症状を現わす肥料や焼けを起こしたり、他の成分を制御するなどして逆に悪くなる場合があります。
肥料が不足すると、草丈が伸びない、花数が少ない、葉が黄色や褐色になるなどの症状が、逆に過剰になると、草丈が伸びても弱々しい、肥料焼けを起こす、徒長、軟弱化し病害虫にかかりやすくなるなどの症状が現れます。
肥料成分の主要な働きと欠乏、過剰症
肥料成分は量の多少にかかわらず、それぞれ重要な働きをしていて必要量に応じてバランス良く吸収されるのが理想です。
多すぎても少なすぎてもいけません。植物が健全に育つには、これらの成分が土の中にバランス良く含まれている事が大切です。
成分 | 主な働き | 不足すると | 過剰になると | |
肥 料 外 |
酸素 水素 炭素 |
光合成によってデンプンを作り、植物の生育の基となる | 生育が悪くなり、欠乏すると枯れてしまう | 特になし |
三 大 要 素 |
窒素 | 葉、茎、根の生育を促進する | 生育が悪くなり、葉が黄色味を帯びてくる | 葉や茎が伸び過ぎ軟弱な植物になり、花や実がつきにくくなる |
リン酸 | 開花、結実を促進する | 花数が減少し、発根不良、葉が黒ずみ結実が遅れる | 出にくい | |
カリ | 根の発育を促進、病害虫や寒さに対する抵抗力をつける | 根腐れが発生しやすく、果実の味や形が悪くなる | カルシウム、マグネシウムの吸収が悪くなる | |
中 量 要 素 |
カルシウム | 根の発育を促進し、土壌酸度を調節する | 新芽や根の生育が悪くなる | マンガン、鉄、亜鉛、ホウ素の欠乏が出やすい |
マグネシウム | 葉緑素を作り、リン酸の働きを助ける | 葉が黄色くなる | マンガン、亜鉛、ホウ素の欠乏になりやすい | |
硫黄 | たんぱく質を作る | 古い葉が黄色くなる | 土壌が酸性化する | |
微 量 要素 |
鉄 | 葉緑素を作る | 葉が黄色や白くなる | リン酸の吸収が悪くなる |
マンガン | 葉緑素やビタミンの合成にかかわる | 葉に黄色や茶色の斑点が出る | 根が枯れ、葉が白くなる | |
ホウ素 | 新芽や根の生育を促進する | 新芽や根の生育が悪くなる | 葉が黄色や茶色になる | |
亜鉛 | 新しい葉を作るのに役立つ | 葉が小さかったり変形する | 新葉が黄色くなり茶色の斑点が出る | |
モリブデン | ビタミンの合成にかかわる | 葉の湾曲や黄色の斑点がでる | 出にくい | |
銅 | 葉緑素をつくる | 葉の湾曲や黄色や白くなる | 根の生育が悪くなる | |
塩素 | 光合成にかかわる | 葉の先端から枯れる | 根が枯れる |
施肥基準の考え方
・施肥基準 = 目標収量を持続的にあげる場合に必要な肥料成分量
化学肥料中心の肥培管理では、土壌の物理性、化学性及び生物性を好適条件に維持するのは困難であるため、有機物投入による土づくりが必要です。
肥料の分類
・肥料といっても種類は非常に多く分類方法も様々です。いずれの分類であっても、特徴や使い方を理解して施用する事が重要です。
原料にる分類
@有機質肥料・・・動植物由来のため、表示された成分以外に生育に必要なさまざまな成分が含まれています。
A無機質肥料・・・化学組成が無機質化合物からなり、一般的に表示された成分のほとんどが利用されます。
成分による分類
@単肥・・・加工、混合などの過程を経ていない単一成分、単一原料
A複合肥料・・・単肥料を加工し、窒素、リン酸、カリの内二種類以上の成分を含む
利き方による分類
@速効性肥料
A緩効性肥料
B遅効性肥料
形状による分類
固形、ペレット、粒、粉末、液体、ペースト
使い方による分類
基肥料、追肥料、礼肥料
有機質肥料の五大効果
@肥料的効果・・・肥料成分n供給(N、P、K、Ca、Mg、微量要素等々)
⇒無機化は総じて60%位で残りは地力になります
A化学的効果・・・腐植物質の生成
⇒腐植化の進行に伴って陽イオン交換容量(CEC)が増大します
B物理的効果・・・団粒構造化の促進
⇒土壌粒子の結合で通気性、通水性、保水力が向上します
C生物的効果・・・微生物種の多様化と数の増大に影響
⇒微生物相の多様化が静菌作用をもたらします
D生理的効果・・・有機成分供給による作物品質向上
⇒アミノ酸やビタミン類が生産され作物の品質が向上します
有機物肥料が作物に与える影響
有機質肥料には化学肥料には無い有機成分(アミノ酸、核酸、糖など)を含み、微生物相が増殖する過程でアミノ酸、ビタミン、ホルモンなどを分泌し、これらの有機成分により作物の生育促進、品質向上がみられます。
有機質肥料が作物に与える影響は総じて
@保存性がよくなる
A作物中の品質成分が高まる
B生理障害が少なくなる
C作物中の硝酸態窒素が少なくなる
果樹(さくらんぼ)の糖度を左右する4要因
@日照量・・・日照時間が長い方が良い
⇒日があたる様に剪定して葉で充分な光合成を行わせる事が大切
A温度・・・日較差が大きい方が良い
⇒夜温が高すぎると転流が阻害される恐れがあります
B水分量・・・硬核期前後の土壌水分が適当である
⇒果実成熟期は乾き気味位が良いです
C肥料養分・・・適切な時期に適切な肥料養分を供給する
⇒窒素成分のコントロールが大切です
果樹(さくらんぼ)にとって窒素(肥料)が必要な時期
@春先から玉が張りはじめる頃
⇒光合成を盛んに行わせるため樹勢を強く保ち、できるだけ多くしっかりとした葉を茂らせる
⇒日中、光合成により葉で生産されたデンプン(糖)が果実や根に転流されます
※有機肥料(配合)を撒く時期は前年の秋〜年内に散布する
(微生物の力で植物が利用できる形に変化するまでに時間がかかります)
果実肥大期に窒素が効きすぎると
せっかく果実に蓄えられた糖分が伸び続ける新梢に使われてしまいます
A収穫直後
⇒翌年の花芽を充実させるため、なるべく早く樹の(実のなり疲れ)を解消する必要があります
⇒速効性窒素肥料の施肥が大切です
高品質な農作物の安定した生産
化学肥料中心の肥培管理では、土壌の化学性、物理性、生物性を好適条件に維持するのは困難です。
持続的農業を推進する為には化学肥料(無機肥料)だけでは困難で、有機質肥料や良質堆肥の投入による土づくりが必要不可欠なのです